彩の国 シェイクスピア・ガーデン
Illustration by 増子デザイン室
2024年春、シェイクスピアにゆかりの深い植物を集めた 「彩の国シェイクスピア・ガーデン」が、彩の国さいたま芸術劇場に開園しました。 これまで数々のシェイクスピア作品を上演してきた彩の国さいたま芸術劇場にふさわしく、 また、与野公園のバラで知られる地域の皆さまに愛され、 未来へつながる場所になることを心から祈っています。
観劇の余韻を求めて、日々の散歩コースとして、 少し自然に触れたい気分の時など、気軽に足をお運びください。 芽吹きの生命力、花盛りの香り、葉擦れのさざめき、冬枯れの陰影、 一年を通して様々な表情でお迎えいたします。
バラ / ハーブ / 果樹・花木
花 / リーフ・グラス シードヘッド・彼姿
香り / 蜂、蝶を呼ぶ
シェイクスピアが活躍した当時のように、できる限り自然な方法で管理する持続可能なガーデン・マネジメントを目指しています。
宿根草をメインに一年草はポイントに。植替えを減らして、育てるメンテナンスを。
自然をお手本にして多様な植物で構成。組合せの妙、移ろい、経年変化、様々な個性を活かしオールシーズン美しく。
作品で言及された160種を超える植物を元に現代の埼玉の気候にも耐える品種選び。
[ガーデン入口] ①「舞台芸術資料室」入口横ドア(館内・1F) ②「たつみ通り」の歩道より階段(館外から)
詳細は劇場公式サイトにてご確認ください
シェイクスピアの樹木草木や花々への造詣の深さや関心の高さは、折りに触れて感じさせられます。『夏の夜の夢』を読み返していたときのこと、二幕一場冒頭の妖精の台詞の「九輪桜は近衛兵、金の上着に光るのは、女王様から賜ったルビー」のところで「あれ?」と思いました。九輪桜は黄色です。「だから金の上着」はいい。でも「ルビーは?赤いじゃない?」そこで、スマホで検索。びっくりしました。花びらは黄色。でもその付け根のあたりが赤いのです。拡大しないと分からないくらいのポチッとした斑点です。シェイクスピアの植物に向ける眼差しの鋭さを実感しました。彩の国シェイクスピア・ガーデンにはシェイクスピアがそんな眼差しを向けた花々が揃います。
翻訳家・演劇評論家松岡和子